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コロナ時代の教室:神戸情報大学院大学

新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中の多くの大学と同様に、日本の大学も遠隔授業(オンライン授業)を続けています。
このような状況になり、もう一年以上が経ちましたが、皆さんは、自宅で講義やセミナーを受けることについてどのような想いを抱いていますか?
最初は慣れないことで精神的負担もあり大変だったと思いますが、今はいかがでしょうか?

先月Kobe Study Abroad teamは神戸情報大学院大学の土田雅之(つちだ まさゆき)先生と会って、遠隔授業について取材を行いました。

土田先生



Kobe Study Abroad (KSA):現在実施されている授業とゼミの実施方法について教えてください。

土田先生:
授業とゼミは、今(令和3年6月時点)はほとんどオンラインですが、緊急事態宣言下でない時は、「ハイフレックス」という方法で実施しています。神戸情報大学院大学には「対面」、「オンライン」、「オンデマンド」、「ハイフレックス」の4つの授業形態があります。

1つ目の「対面」は、言わずもがな学生が教室に直接来て授業を受けることです。コロナ禍が始まる前は、授業は対面が基本でしたよね。
2つ目の「オンライン」は、皆さんがよく利用されていると思いますが、ZOOMなどのWeb会議サービスを使いながらリアルタイムで授業をすることです。
3つ目の「オンデマンド」は、先生が授業を録画しておいて、学生は自宅で録画された先生の授業動画を見て授業を受けることです。
最後の「ハイフレックス」は、同じ授業を個々の学生の状況に応じて、対面授業とオンライン授業の双方で受講できる方法です。


KSA: 現在の授業実施方法についてどう思われますか?対面よりオンライン授業やハイフレックス授業の方が実施しやすいですか?

土田先生:
私は対面授業の方が好きな学生が多いと感じています。授業だけじゃなくて友達と会えるのも大事だと思っている学生もいると思いますので、対面授業は、先生と学生同士が直に交流するという点において価値があると思っています。

オンライン授業には欠点もあります。例えばネット環境が良くないと、音声が途切れたりして、学生が満足に授業を受けられないこともあります。また、ビデオをオフにして授業に参加している学生も多く、学生の反応が分かりづらいので困りますね。

しかし、授業を一切受けられないことと比べると、オンラインで授業を実施できることに意義を感じます。

神戸情報大学院大学にはコロナ禍以前でもオンライン授業を実施していた先生もいたようですが、土田先生自身はコロナ禍以前にオンライン授業は実施していなかったそうです。また、オンライン授業の準備と対面授業の準備にかかる時間はあまり変わらないそうです。




KSA: 宿題は出されていますか?オンライン授業とハイフレックス授業がメインとなったことにより宿題の種類や内容、量などは変わりましたか?

土田先生:
宿題の量などは変わっていませんが、コロナ前までは、授業が終わる20分前ぐらいに、グループで課題について考えてもらい、みんなに宿題を提出してもらうことが多かったです。オンラインになってからは、ブレイクアウトルームでグループトークをすることができますが、満足に話せないので、現状、宿題は個人でしっかり考えてもらったうえで提出してもらっています。また、オンライン授業中にカメラをオフにしている学生もおり、そのような学生は本当に参加しているかどうか分からないので、宿題の提出によって、その学生が授業をちゃんと聞いているのか、ちゃんと参加しているのか等を確認しています。

授業の感想もよく書いてもらいます。各学生の感想も記載する形の宿題を提出してもらって、次回の授業の初めに何人かの提出物をピックアップして気になった箇所について回答しています。


土田先生は約30名が参加する授業を、ほとんどオンラインで実施しているそうです。
一人暮らしの学生は、対面で授業を希望することが多く、同居家族に高齢者がいる学生は、コロナウイルスに感染しないよう万全を期すために、オンライン受講を希望する方が多いとのことです。

ハイフレックスゼミの参加者

土田先生とのインタビューの後でハイフレックスゼミにも参加させていただきました。
学生は4人がオンラインで、1人は対面で受けていました。学生が自宅で作成されたプロジェクトも視聴させていただきました。専門的な話がなされており、とても面白かったです。

ゼミ中

ゼミが終わった後、学生さんたちとも色々な話ができました。

KSA: オンライン授業と対面授業、どちらの方が好きですか?

学生:
オンライン授業にはいいところもありますし、不便なところもたくさんあります。オンライン授業が始まってからは通学しなくてもいいので、通学時間を自分のために使えるようになりました。オンライン授業は録画するのですが、リアルタイムで授業に参加できなくても、動画を後で好きな時間に見られるので、とても役に立っています。

ただ、対面授業のようにオンライン授業では先生と直接あまり話せないので、質問を聞きたい時に聞けないことは困っています。プログラミングの授業など実践的な授業は対面授業の方がわかりやすいですね。英語の授業では言いたいことをジェスチャーで伝えることが多くて、その際はやっぱり対面の方が伝わりやすいですよね。また、先生と学生同士の反応が届かないことも多く、困る場面もあります。

しかし、自宅で授業を受けて、ほかのことにも時間があるので、楽だと思って、オンライン授業は大きな問題になっていないと思います。


KSA: 長時間のオンライン授業により同じ姿勢で座っている時間が長いと思いますが、どのように対策をしていますか?

学生:
授業によりますが、もしビデオをオフにしたまま授業を受けられるなら、部屋を歩き回りながら授業を受けたり、立ちながら授業を受けます。
また、椅子を座ることが多くなってきたので、体によい椅子でしたらずっと座っても腰とか足が痛くならないので、高品質な椅子とジェルクッションを購入しました。

当日ゼミを対面で受けた石井さん



終わりに

最後にポストコロナ時代のオンライン授業について土田先生と学生さんたちに意見を聞くと、「対面授業とともにオンライン授業も残ればといいなと思っています」と答えていただきました。
オンライン授業のおかげで、遠隔地にいても神戸の大学において授業を受けられるようになりました。また、社会人の学生は今まで昼間は働いて、夜間は大学で遅くまで授業を受けていましたが、今は仕事が終わってから、自宅で授業を受けられるようになったので、時間を有効に使えるようになったそうです。

私自身、この記事を書くまではオンライン授業ができるようになって良かった、と単純に思っていましたが、対面の授業でしか得られない授業の面白さもあるので、対面授業とオンライン授業に単純に優劣はつけがたいなと今は思っています。
ただ、オンライン授業の利便性は高いので、コロナが落ち着いてからもオンラインで学習を受け続けられる環境が続けばいいなと思います。皆さんはいかがでしょうか?